JAN-JAN VAN ESSCHE “AWARE” Dialogue 2

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Q : ユズカラー、イエローが目を引きましたね。

J : イエローは平和でポジティブな色だ。(ビシッと言い切る)

Q : 制作の始まりは、何から始まりますか?

J : 素材から。素材を見て、そこからデザインに発展する。
自然を感じるもの。乾いた質感とかね。
黒色も自分で染色したいんだ。
黒を自分で染めるというのは、とても難しいしコストがかかる。
今それを実験しているよ。

K : へー、あ!あれか。
(最初に私がショウルームへ顔をだした時、彼がしきりにむら染めの黒いストールを見せてくれた。それがいかに難しく嬉しいことだったのかと、改めて理解する)

K : ここ最近のインスピレーション、インスパイアされたものはありましたか?

J : アフリカにインディゴ染め(藍染)を体験しに行ったんだ。
アフリカと日本でしか藍染は行われていないんだ。
知ってた?

K : あ、そうなんだ。

J : 藍の葉を摘んで乾かして壺に漬け込んで発酵させる。壺は日本の酒蔵から譲り受けたものなんだ。(酒造の杜氏がかき回している、あのでっかい樽です)そこに一緒に米やら、果物やら、なんだかんだ入れる。出来上がった藍と素材を、素足で長らく踏み続ける。

K : 気が遠くなるね、、、

J : 浸したり、絞ったり。できあがるまでの全てのプロセスが面白い。
それから、アフリカの染めマスター aboubakarfofanaをアントワープへ招いて、ワークショップを行ったよ。
インターンシップの生徒も交えてね。

(動画や写真を見せながら、とても楽しそうに語る。長らくこの時間が続く)

K :・・・じゃあ、最後に。
私は、あなたの洋服、そのなかに込められた想いを伝える役目だと思っています。
右から左へ、いわゆる流行としての ”ファッション” というような享楽的に消費するようなやり方ではなく。
これが私のやり方で、これからの新しいショップのあり方のように個人的に考えています。
それについて、どう思いますか?

J : うん。同感。

K : うん、そうだよね。

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〜 会話を終えて 〜

ヤンヤン自身、自分のことはそう多くは語らない人だ。
メッセージは服に込められている、という姿勢を崩さない。でも、興味がある具体的なことには熱心に語ってくれる。染めの美しさやパターンの理由と閃き。大好きなアフリカ、興味が尽きない私たち日本のこと。知的な眼差しと人を思いやる優しい眼差しが同居する瞳。そういう彼が大好きだし、信頼できるといつも感じている。藍染に夢中になっている今、いつかきっとその成果が現れたコレクションを見せてくれるはず。楽しみに待つことにしよう。

エゴのことについて。
思うに彼の作品は驚くほどシンプルな作りをしている。快適な日常感を突き詰めたシンプルではなく、服のロジックを突き詰めた先に生まれるシンプルだ。できうる限り、造形を作るための縫いを減らすということは、エゴイズムをなくすという行為であり、それは同時に東洋の着物とイコールになったと想像する。エゴを冷静に見つめながら、それを超えたところにある表現。時に流されない、しなやかな強さを持った普遍的なもの。それが彼の求めてやまないものなのだろう。私がよぼよぼのお爺さんになるまで、長い時間軸で彼のことを見ていきたい。改めてそう思ったコレクションだった。

この会話の後、うしろ髪ひかれつつフライトぎりぎりタクシーに乗り込み帰国。盛岡に着いたらヤンヤンのパートナー、ピエトロからメールが来た。ピエトロはヤンヤンの理念と審美眼を共有している人物だ。彼の存在があって “JAN-JAN VAN ESSCE” の世界観が強固に成立する。

無事、盛岡についたかい?
今、コレクションの撤収をしているんだ。
“MONONO AWARE”※  今まさにそんな気持ちだよ、と。

そうだ。今回のコレクションテーマは、“AWARE”だったんだ。
もう、ミートゥだよ。

※もののあわれ、物の哀れ、折に触れ、目に見、耳に聞くものごとに触発されて生ずる、しみじみとした情趣や、無常観的な哀愁。

 

JAN-JAN VAN ESSCHE 17SS COLLCTION “AWARE”

2013年 出会い 
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Text : Kenichi Nakamura
Interpreter : Hisato Tasaka

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