ZIGGY CHEN : 対話 其ノ一

最終更新日

 

待ち望んでいた、ZIGGY CHEN 新作が届いた。

“Max Richter” が静かに流れるなか、ひとつ取り出しては見とれながら、ラックにかけていく。店内の白檀と百合の香り、スチームアイロンの白い蒸気が粒子となって混じり合う。立ち上がりの季節、一番好きな時間。
ひとしきり終わり、花が鎮座したカウンター越しで彼のラックを見る。百合に添えたワインレッドのカーネイションと憎らしいほど似合っている。血のように赤いベルベットの質感は、彼の服の気品と危うさを連想させる。
それは、どこか懐かしく、同時に初めて感じるような精妙な香りがするのだった。

私の大好きな音楽家があるインタビューでこう語っていた。いい音楽というのは裏の情報が豊かだ。そこにはバックボーンやルーツを感じる「香り」がする、と。そうなのだ。彼の服にも、そんな魅惑の香りが漂っている。

1月のパリで、17AWのコレクションを見終わった後、彼と交わした会話です。その香りのレシピが、これによってなにかわかるかもしれません。あなたにもこの香りが届きますように。
今夜もどうぞ。

TEXT : Kenichi.Nakamura
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K : 17AWのコレクション、素晴らしかったです。
あなたの脳内から溢れだしたようなコラージュは圧巻でした。
過去最高のコレクションだと思います。

Z : ありがとうございます。

K : いつも思うことなのですが、色の表現が素晴らしいですね。
なにか夢のような、懐かしく記憶をむずむずさせるような、、、なんとも言えない色です。
この曖昧な色は、どうやって想像し、表現するのですか?

Z : 曖昧な色を作り上げるといのは、実は感覚的なことではなく、とてもロジカルな作業です。
例えば、ネイビーとカーキを混ぜ合わせて糸を作るということではなく、二つの色の糸を縦糸と横糸で織っていきます。
そうすることにより、色に深みが生まれます。
さらに、洗いをかけ、縮んだり伸びたりでまた表情が変わる。
想像の範囲での振り幅でぶらしたり、想像からはみ出た偶発を楽しんだり。
もちろん、失敗もあります

黒にも強いこだわりがあります。
ただ黒、だけでなく、20%の赤茶を混ぜています。
ダークブラウンは、アンティークのメガネケースからの着想です。
時間がぎゅっと詰まっているような、そんな色です。

すべてオリジナルの素材で、日本とイタリアの工場です。
アジアとヨーロッパには色彩感覚の違いがあります。
故に、美しい、と感じる色にも違いはあります。
そこで伝える手段ですが、多くのデザイナーは、色を伝えるうえでパントーンを使用すると思うのですが、私はそれはしません。アンティークの布、紙、そのようなものでコミュニケーションをとります。

K : なるほど。あなたらしいですね。
あなたがアンティーク好きなことは、深く理解しています。
それとは真逆の最新のテクノロジーについて、興味があることがあれば教えてください。
あなたの服は懐かしさと同じぐらい、新しさが同居していると感じていますので。

Z : うーん、、、なんだろう?
バーチャルリアリティでしょうか。
それが今後、人間の感覚をどう変えるのかということには興味があります。
でも自分の服に、そのようなものが組み込まれるという可能性は今のところありません。
テクノロジーは、あくまでも手段です。

食べ物でいえば、高分子食材というものがあるようでして。
最近、それに強い興味があります。

つづく

 

ZIGGY CHEN 17SS

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