鳴子 旅のはじまり

お盆、三陸の田舎へ帰る。
霧雨の景色で寛でいる私に母が昔のアルバムを差し出した。
幼少の頃の自分、姉、従姉妹、その大好きなお兄ちゃんと遊んでいる。
父と母、祖父と祖母。叔父と叔母、周りの見知った人たちの若い頃の写真。
今の時代より地に足が着いた大人に見える。なんだかすごく格好いい。

血縁の顔をなぞりながら自分の顔を重ねあわせる。
畳の広間に漂う線香の香りが記憶をくすぐり煙が時間をぐにゃりと歪める。
暫しの間、過去と未来を夢想したのだった。

昭和の写真を見たせいか無性にセンチメンタルな気持ちになった。
うーん、ゆっくり旅したい。
温泉なんかに浸かりながら。

そうだ鳴子へ行こう。

そういえば、そんなJRのキャッチコピーがあったな。
46年前の百合を眺めながら鳴子のとある宿へ向かったのだった。

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宿に到着。
ここは誰にも教えたくない秘密の場所。
反面、この素晴らしさを味わって欲しいというジレンマが生まれる。
隠れ家、ってそういうことなんだろう。

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早速こけしのお出迎え。鳴子といえば、ね。
おっ。こんなモダンなこけしもあるんだ。
手前がリーダーっぽい。ちょっと待ちな、なんて。

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ガラスを通り抜ける光。
こんもりした蓋のフォルムが愛らしい。

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私の影は黒いけど、彼女の影は青いのだった。

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廊下の壁に天窓の格子の光がうっすらと浮かぶ。
思わず歩みにリズムが生まれる。

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磨き上げられた廊下に反射する森の光。
ここは光の入り方が妙絶。
妙絶とは絶妙の最上級なのだ。

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汗で濡れたヨージのジャケットを脱ぎハンガーにかける。
宿部屋の空気を自分の服と匂いで馴染ませる。

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かき混ぜた水の中で澱が沈むように部屋の気配が落ち着きはじめる。
空間の領土を鬩ぎ合う気持ちにさせる部屋もあるが、ここは違う。

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しみじみと部屋越しの景色を眺める。
お気に入りの服と一緒に。
こころから寛ぐ時間。

次回、鳴子 旅のつづき編

 

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